【定時帰りも可能】都庁公務員の残業時間の実態について解説

時は金なり

都庁の残業時間はどのくらいなのだろう?
定時で帰れるのかな?
残業代は全部支払われるのかな?

今回は、このような疑問に答えます

本記事の内容

  • 都庁公務員の残業時間
  • 都庁公務員の残業代
  • 都庁の残業動向

この記事を書く私は都庁職員歴7年。平穏な部署と激務な部署のどちらにもいたことがありますので、都庁公務員の残業事情について、具体例を交えて説明していきます。

本記事を読み終えると、都庁公務員の残業時間はどれくらいなのか、残業代はもらえるのかが分かります。

都庁公務員の残業事情が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください!

目次

都庁公務員の残業実態

平均残業時間の推移

 職員1人当たりの残業時間(月平均)は下記図1のとおりです。

直近5年は、大きな変動はなくほぼ同じ時間で推移しています。

職員全体では、月平均13~14時間で民間企業の平均よりも少ないです。ただ、本庁職員に限ると、21~22時間と多くなっています。

本庁職員の時間が多い主な理由は、議会対応や各種会議など本庁独自の業務があるからです。

(引用)

東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プラン(令和3年3月改訂)

東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プラン(平成 29 年1月)

残業が多い月

残業が多い月は7月、10月、3月です。

7月は予算要求、10月は議会(決算特別委員会など)、3月は議会(予算特別委員会など)と異動に伴う引継ぎがあるからです。

当然、部署によっても違いますが、平均的にこの3つの月は残業時間が多い傾向にあります。特に、3月は特段多いです。

残業時間の上限

結論から言うと、残業時間の上限は、月45時間、年360時間です。

職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例施行規則第7条」で定められています。ただ、一部例外もあります。

具体的には以下表1のとおりです。平成31年4月から適用されています。実際は、例外規定もあり理由をつければ上限を突破することも可能になっています。

表1
出典:東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プラン(令和3年3月改訂)

都庁公務員の残業代

残業代の支給推移

職員一人あたりの年間残業支給推移と支給額は下記図2・表2のとおりです。

図2
スクロールできます
知事部局交通事業
(バス)
高速電車事業(地下鉄)水道事業下水道事業5事業平均
令和元年度¥369,000¥1,241,000¥1,106,000¥771,000¥465,000¥790,400
平成30年度¥342,000¥1,145,000¥926,000¥726,000¥413,000¥710,400
平成29年度¥344,000¥1,110,000¥896,000¥709,000¥401,000¥692,000
平成28年度¥355,000¥1,155,000¥945,000¥738,000¥407,000¥720,000
平成27年度¥345,000¥1,197,000¥942,000¥762,000¥423,000¥733,800
平成26年度¥346,000¥1,126,000¥898,000¥764,000¥405,000¥707,800
6カ年平均¥350,167¥1,162,333¥952,167¥745,000¥419,000¥725,733
表2
(職員1人当たり超過勤務手当平均支給年額)

知事部局でみると、残業代の年間支給額は約35万円で、月3万円程度です。

交通や水道など公営企業は、比較的残業代が多い傾向にあります。

残業支給額はどうやってきまる?

残業支給額の計算方法は、「職員の給与に関する条例」で決まっており、以下の計算式で算出します。

残業代= 残業時間(1時間単位)×1時間あたりの給料単価×(1.25 or 1.5)

勤務1時間当たりの給料単価は、年間の給料額を年間の勤務時間で割った額です。

年間の勤務時間は皆ほぼ同じなので、年収が多いほど高くなります。

20代から40代の職員だと、2,000円から3,000円の間です。50代以降のベテラン職員だと4,000円を超えます。

また、勤務日や勤務時間帯によって、1.25倍または1.5倍が加算されます。

例えば、17時が定時の場合、17時から22時の間は1.25倍加算、22時から翌日5時の間は1.5倍加算です。

残業代は全額支払われる?

基本的に申請した分全額が支給されます。

ただ、部署によっては残業代の年間予算額の関係で支給されないこともあります。

年度の前半で残業代を多く消化してしまうと、当然後半で使える予算が限られてきます。

部署によっては、年度後半の10月頃から毎月の残業代の目標数値が決められて、管理されることもあります。

とはいえ、残業して働いた分が支給されないのは、法律違反なのでは?

確かに、残業代が支払われないことは、労働基準法に抵触します。ただ、実際には、残業申請時間を減らすように調整されて、泣き寝入りするしかないこともあります。

一方で、残業代未払いが指摘されて問題になったこともあり、そのような事例は少なくなってきています。

【参考記事】都水道局、残業代未払い 労基署が是正勧告

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021021501023&g=eco

予算が足りなくなっても、結局他から予算流用して補填をするので、全く残業代が出ないことはないです。

私は残業が多い部署にいた時もありますが、残業代は申請どおり全額支給されました。

残業のメリット・デメリット

次に、残業することのメリットとデメリットを解説します。 

結論から言うと、残業をすることは、デメリットのほうが多いです。

残業代により所得が増えますが、それは本来働かなくてよい自分の時間を犠牲にして得ているものです。組織としても、残業を減らす取組を推進しているので、残業をしないことが一番です。

メリット

①所得が増える

残業代で所得が増えることです。

残業時間帯は1.25倍加算されるので、通常の勤務時間よりも多く稼ぐことができます。

②仕事に集中できる

自分の仕事に集中できることです。

残業時間帯である夜間は、日中よりも打合せや電話対応が少ないので、他から邪魔されることなく自分の業務に集中して取り組むことができます。

デメリット

①仕事の生産性が低い

仕事の生産性が低くなることです。

通常勤務後の疲れた体で働くことになるので、効率的に業務を行うことはできません。

当日中にやるべき以外の業務は、翌日にやるほうが、生産性も高く時間を節約できます。

②保険料や税金が上がる

厚生年金保険料と税金が上がることです。

厚生年金保険の等級は4~6月の給料で決まるので、3~5月の残業代が多いと、保険料が上がります。厚生年金保険料は基本的に年1度の改定なので、年間を通して負担が続くことになります。

また、所得税や住民税も所得に応じて上がるので、残業代分の給料は増えますが、手取り額はそこまで増えません。

実際に、私が残業の多い部署にいた時、残業代で所得が増えました。
一方で、税金や保険料で引かれる金額も増え、残業が少ない部署へ異動した後も保険料の金額が変わらず、手取り額が少なくなったことがあります。

厚生年金保険の保険料(日本年金機構)

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-01.html

③評価されない

残業は評価に影響しないことです。

残業しても上司からの評価が必ずしも上がるわけではありません。長時間残業をしている人が評価されるような働き方は通用しなくなっています。

実際に私は、残業がほぼない部署と多い部署にもいましたが、勤務評価は変わりませんでした。

残業しなくても、勤務時間中にしっかり仕事をしていれば、普通の評価になります。

また、公務員の成績評価による待遇への反映は少ないので、勤務評価はそこまで気にする必要はありません。

都庁職員の残業動向

結論から言うと、しばらくは現状維持が続くと思います。

過去5年間の残業時間()に大きな変化はないからです。ただ近年は、新型コロナウイルス感染症対応などで残業時間は増加傾向にあります。

働き方改革として、テレワークの推進やDXによる業務の効率化を進めていますが、残業時間の削減へ反映されるまでは、しばらく時間がかかります。

また、20時完全退庁日の指定や残業削減マラソン(各局での競争を図る取組)など、あらゆる対策を講じていますが、大きな効果は出ていません。

とはいえ、DXの推進や都政の構造改革が進めば、業務も効率化されて残業時間もどんどん減っていくのでは?

確かに、行政サービスのデジタル化・オンライン化が進めば、業務も効率化されて残業時間削減につながります。

ただ、業務の効率化を図って業務量を減らすと、人員削減や予算が減らされるため、現場サイドからの抵抗があります。そのようなジレンマがつきまとうので、業務改革がなかなか進まないのが現状です。

残念ながら、公務員には前例踏襲、現状維持のマインドが未だ根強く残っています。

なので、残業時間の推移はしばらく変わらないかと。残業を減らすには、組織が変わるよりも、自分のマインドや行動を変えることが必要です。

まとめ:定時帰りは自身の残業に対する姿勢が大事

本記事をもう一度確認します。

本記事の要約

  1. 都庁職員の残業時間は月平均で13~14時間(本庁職員は、21~22時間)
  2. 残業代は基本的に申請した分の全額が支給される
  3. 残業はデメリットが多いので、なるべくしてはいけない
  4. DXやテレワークは進んでいるが、残業への影響はまだ少ない

都庁の残業時間はそこまで多くはなく、基本的に定時帰りすることが可能です。

残業が常態化しているブラック職場もありますが、自分の姿勢や行動により残業時間をコントロールできます。

実際、多くは比較的残業が少ないホワイト職場であり、仕事も生活も充実させている人が多いので、ライフワークバランスを実現しやすい環境と言えます。

今回は以上となります。ありがとうございました。

この記事を書いた人

・ブラック企業で働きながら勉強して、2度目の挑戦で都庁へ合格
・都庁職員として8年勤務(3回の人事異動を経験)
・都庁の採用試験対策や勤務実態に関する情報を発信




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