【給料は高い?】都庁公務員の給与体系とトレンドを解説【明細も公開】

都庁公務員の月収や手取りはどれくらいなのか知りたいな…
あと、近年の給料推移とか、民間企業や他の公務員と比べて高いのか知りたいな

このような疑問にお答えします。

【本記事の内容】

  • 都庁公務員の給与支給額のしくみ
  • 直近20年間の給料改定状況
  • 国や民間企業との比較
  • 実際の給料明細公開

この記事を書く私は都庁職員歴7年。民間企業で働きながら、都庁への転職を経験しました。

今回は、都庁職員の給料実情を紹介していきます。

本記事を読み終えると、都庁公務員がどれくらい給与をもらっているのか、また民間や他の公務員と比べて高いのかが分かります。

都庁公務員の給料や手取り金額が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください!

目次

平均給与額と支給日

平均給与月額は約45万円

令和2年の平均給与額等は、以下表1のとおり

東京都職員平均給与額
表1 東京都職員平均給与額

手取り額は、以下の式で計算できます。

給与月額 = 給料月額+諸手当(地域手当、住居手当など)

手取り額 = 給与ー税金(所得税、住民税)ー共済掛金(年金)ーその他(事業団会費)

給与額が45万円だと、税金や共済掛金(年金)で約10万〜15万円引かれるので、手取り額は30万〜35万円になります。

(出典)「都職員の給与の状況」(第40回)の概要について(東京都総務局人事部)

(参照) 給与メモ(東京都人事委員会)

給与支給日は15日

給与支給日は、毎月15日です。

ただし、15日が日曜日、土曜日又は休日に当たるときは、15日に最も近い日曜日、土曜日又は休日でない日が支給日となります。

具体的には以下のとおりです。

  15日が土曜日の場合:4月15日(土)→4月14日(金)支給

  15日が日曜日の場合:4月15日(日)→4月16日(月)支給

  15日が祝日や土日に挟まれた場合:4月14日(土)、4月15日(日)、4月16日(祝日)→4月13日(金)支給 

(給料の支給方法等)

 給料の支給日は、15日とする。ただし、15日が日曜日、土曜日又は休日に当たるときは、15日に最も近い日曜日、土曜日又は休日でない日(その日が2あるときは、15日より前の日)を支給日とする。

職員の給与に関する条例施行規則第2条第1項

給与支給額のしくみ

給与支給額はどうやってきまる?

給与支給額は以下の式で決まります。ほとんどが固定額です。その他の手当は、通勤手当や超過勤務手当です。

給与月額 = 給料の月額+特別調整額(管理職手当)+扶養手当+地域手当+住居手当+その他の手当

主な手当は以下のとおりです。

扶養手当
地域手当
住居手当
通勤手当

通勤手当は6ヶ月に1回支給されます(4月と10月)。一番安い6ヶ月定期券を買うことが前提だからです。

超過勤務手当は、前月の残業時間に応じて支給されます。

毎月の変動値は、超過勤務手当だけなので、残業しなければ、基本的には同じ金額が支給されることになります。

ちなみに、給与額と手取りの関係は以下図のとおりで、給与額が上がる分、税金や保険料も上がるので、手取り額の伸び率は低下していきます。

なので、給与は上がっているけど、手取りはそこまで増えない状況に陥ります。

(出典)【図解】年収と手取りの違いを徹底解説。手取りを増やすカンタンな方法も紹介(しごとカフェ)

【参照】給与メモ(東京都人事委員会)

https://www.saiyou.metro.tokyo.lg.jp/pdf/saisin_kyuyomemo.pdf

給与支給額を増やすには?

結論から言うと、給料額を増やすことです。

増やせる余地があるのは、給料月額と超過勤務手当のみで、扶養手当や地域手当、住宅手当は固定額だからです。

給料額を上げる具体的方法は、以下の2つです。

① 昇級して給料額を増やすこと

→勤務年数を重ね、年1回の昇給を積み上げる

② 昇格して職務級を上げること

主任試験や管理職試験に合格して、上位の給料表にステップアップ

とはいえ、手っとり早く給料を増やすなら、残業をたくさんした方がいいのでは?

確かに、残業時間を増やせば、手取り額も一時的には増えます

ただ、残業は部署や時期によって異なり、安定してできるわけではありません。また、残業の常態化は、自分の時間を犠牲にすることになり、体調を崩す可能性も高く健康的にもよくないです。

なので、給与支給額を増やすには、地道に昇級または昇格するしかありません。

定期昇給はどれくらい?

定期昇給は、1年に1回あり、4号昇給が基本となります。「初任給、昇格及び昇給等に関する規則」で決まっているからですね。

具体的には、平均で約7,000円程度増えます。当然、役職などによって変わり、給料表に基づき金額が決定します。

昇給クラスの割合としては、おおよそ以下のとおりです。特に問題なく仕事をしていれば、4号昇給になります。

5号、6号昇給 :約30%

4号昇給(標準):約60%

0〜3号昇給  :約10%

一例として、私の昇給状況は以下表2のとおりです。

決定年月日決定給料月額増加分備考
令和3年4月1日¥283,800¥7,2004号昇給
令和2年4月1日¥276,600¥9,2005号昇給
平成31年4月1日¥267,400¥7,5004号昇給
平成30年4月1日¥259,900¥8,2004号昇給
平成30年4月1日¥251,700¥11,100昇格(主任)
平成29年4月1日¥240,600¥6,5004号昇給
平成28年4月1日¥234,100¥6,8004号昇給
平成27年4月1日¥227,300¥6,6004号昇給
平成26年4月1日¥220,700
¥7,429←平均増加額
表2 昇給例

(昇給の基準)

 昇給させる場合の号給数は、人事評価の結果について人事委員会の承認を得て定める付与率その他の基準により区分した評語が中位となった職員の昇給の号給数を欠勤等の特別の事情がない限り4号給とすることを標準として、0から6号給までの範囲内とする。

初任給、昇格及び昇給等に関する規則

直近20年間の給与勧告推移

直近20年(平成12年から令和3年)の給与勧告状況は、以下表3のとおりです。

平成25年までは、給与引き下げが続きましたが、近年は改定見送りや若干引上げがある程度です。

給与改定は、民間の平均金額をベースに決まるので、今後の民間企業の動向に左右されます。直近の傾向からすると、しばらくは改定見送りが続くと推定されます。

スクロールできます
勧告内容概要
令和3年例月給の改定見送り
令和2年例月給の改定見送り
令和元年例月給の改定見送り
平成30年初任給を1,000円引上げ
平成29年例月給の改定見送り
平成28年例月給の改定見送り
平成27年給料表を引上げ改定
平成26年給料月額を引上げ
平成25年給料月額を引下げ
平成24年住居手当の見直しと給料月額の改定で給与を引下げ
平成23年給料月額を引下げ
平成22年給料月額を引下げ
平成21年給料表を引下げ
平成20年地域手当の支給割合の引上げ(14.5%→16%)に伴う引下げ分と合わせて、給料月額を引下げ
平成19年地域手当の支給割合の引上げ(13%→14.5%)に伴う引下げ分と合わせて、給料月額を引下げ
平成18年給料月額及び配偶者に係る扶養手当の引下げ
平成17年給料月額及び配偶者に係る扶養手当の引下げ
平成16年給料表及び諸手当の改定を見送り
平成15年給料表の引下げ改定及び配偶者に係る扶養手当の引下げ
平成14年給料表の引下げ改定及び配偶者に係る扶養手当の引下げ
平成13年給料表及び諸手当の改定を見送り
平成12年給料表の改定を見送り
表3 給与勧告状況

コロナ禍で打撃を受けている民間企業も多いから、今後は公務員の給料も下がっていくのでは?

確かに飲食業や観光業などを中心に、業績が落ち込んでいる企業も多いです。

ただ、コロナ渦でも成績を伸ばしている企業もありますし、民間企業の平均給与額が急激に落ちたりはしないかと。

公務員の給料が、好景気時に大きく増えない一方、不景気時は大きく減らず、安定していると言われる理由の1つですね。

なので、今後も給与支給額が大きく変動はすることはありません。

【出典】職員の給与に関する報告と勧告(東京都人事委員会)

https://www.saiyou.metro.tokyo.lg.jp/kankoku.html

国や特別区、民間企業との比較

他の公務員や民間企業従業員の状況(令和2年)は、以下表4のとおりです。

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行政事務職員平均年齢平均給与月額比較した民間企業従業員の給与月額備考
東京都40.9 歳402,038円401,843 円都内の企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上の1,228事業所
特別区39.1 歳380,961 円380,804 円特別区内の企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上の1,107事業所
国家公務員43.2 歳408,868 円408,704 円全国の企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上の12,000事業所
表4 令和2年平均給与月額(一般行政事務職員)

平均年齢が異なるため、単純に比較はできませんが、公務員の給与額はほぼ同じで大きくは変わりません

民間の平均給与額を基準に給与金額が決まっているので、平均的な金額にならざるを得ないためです。当然、大企業に比べると、安くはなります。

公務員は安定している一方で、「安定」という文字のとおり、大企業より給与額は安く定まることが必然と言えます。

【参照】

・令和2年人事委員会報告の概要(東京都)

令和2年特別区職員の給与等に関する報告について

令和2年給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント(人事院)p5

給与明細公開

一例として、私の令和2年度(35歳主任)と令和元年度(34歳主任)の給与額及び手取り額は、以下表5のとおりです。

令和元年度は激務部署、令和2年度は平穏部署の配属でしたので、残業時間が大きく異なります。                   

項目令和3年3月令和2年10月令和2年3月令和元年10月
給与額¥353,520¥418,298¥394,020¥698,504
(内訳)
給料¥276,600¥276,600¥267,400¥267,400
扶養手当¥18,000¥18,000¥18,000¥18,000
地域手当¥58,920¥58,920¥57,080¥57,080
住居手当¥0¥0¥15,000¥15,000
超過勤務手当¥0¥7,968¥36,540¥280,214
通勤手当¥0¥56,810¥0¥60,810
控除総額¥105,419¥105,729¥114,978¥125,700
(内訳)
厚生年金¥40,260¥40,260¥48,495¥32,940
退職等年金¥3,300¥3,300¥3,975¥2,700
短福・介護¥18,396¥18,396¥22,159¥15,051
所得税¥8,040¥8,350¥9,960¥44,620
住民税¥29,400¥29,400¥24,400¥24,400
事業団掛金¥1,023¥1,023¥989¥989
その他(積立貯金)¥5,000¥5,000¥5,000¥5,000
差引支給額(手取り)¥248,101¥312,569¥279,042¥572,804
備考残業なし残業3H
通勤手当あり
残業14H残業97H
通勤手当あり
表5 給与明細 (単位:円)

給与明細例

都庁 職員 給与明細

まとめ:公務員給料は民間企業の平均

今回は、都庁公務員の給料額について解説しました。

【本記事の要約】

  1. 都庁職員の平均給与額(令和2年)は457,097円     
  2. 平均給与額は、民間企業の平均から大きく外れないよう調整される
  3. 直近20年間の給与勧告では、引き下げと改定見送りが続いている
  4. 定期昇給は、約7,000円程度
  5. 他の公務員と比べて、給料額は大きく変わらない。

都庁公務員の給料は決して高くはありませんが、そこまで低くもありません。

手当や残業代にもよりますが、30代で手取り月額25万円ほどはもらえるので、相当な贅沢をしなければ十分生活ができるし、貯金も可能です。

今回は以上となります。ありがとうございました。

この記事を書いた人

・ブラック企業で働きながら勉強して、2度目の挑戦で都庁へ合格
・都庁職員として8年勤務(3回の人事異動を経験)
・都庁の採用試験対策や勤務実態に関する情報を発信




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